反復測定分散分析
|Repeated Measures ANOVA
反復測定分散分析
Repeated Measures ANOVA
反復測定分散分析は、1か月後~2か月後~3か月後などの3時点以上の平均値の比較を行う経時的なデータの比較に用いられ、量的従属変数を対象として分析します。前後の比較などの2水準の分析で使用される対応のあるt検定を、3水準以上に拡張した分析です。
Repeated measures ANOVA is used to compare means across three or more time points—such as one month, two months, and three months later—when analyzing longitudinal data. It is applied to quantitative dependent variables and can be seen as an extension of the paired t-test, which is used for two-level comparisons, to situations involving three or more levels.
繰り返し測定した値の平均の比較
反復測定分散分析(Repeated Measures ANOVA)は、同じ対象に対して複数の時点や条件で繰り返し測定したデータの平均値の違いを評価する手法です。慣習的に、2時点の場合は対応のあるサンプルのt検定が適用され、3時点以上の場合は反復測定分散分析(や混合効果モデル)が適用されます。調整変数として年齢や体重などの共変量を組み込むことも可能です。
反復測定分散分析は、次のような研究デザインでよく用いられます。
- 治療1ヶ月後・治療2ヶ月後・治療3ヶ月後など同一被験者の経時変化を3水準以上で比較したい
- 介入群と対照群を比較しつつ時間経過による変化(介入×時間の交互作用)も評価したい
- 反復測定の要因に加え、群間要因を組み合わせた2元配置のモデルを検討したい
球面性と補正
反復測定分散分析には、球面性(球形性)と呼ばれる仮定があります。反復測定の水準が3つ以上ある場合、Mauchly(モークリー)の球面性検定で仮定の充足を確認し、満たさないときは Greenhouse-Geisser(グリーンハウス・ガイザー)や Huynh-Feldt などの補正に基づくP値を参照する方法が一般的です。
球面性を満たさない場合や欠測・個体差が大きい場合は、共分散構造を柔軟に指定できる混合効果モデル(Mixed Model)の利用も検討します。SPSS では Advanced Statistics オプションで実行できます。なお、球面性は反復測定の水準が3つ以上の場合の仮定です。前後比較など2水準の場合は、対応のあるt検定と同様に球面性は問題になりません。
2元配置と交互作用
反復測定分散分析では、介入と非介入を意味する群間要因を組み合わせた2元配置のモデルがよく用いられます。この場合、介入効果(群間効果)と時間効果(反復効果)の両方を評価できます。また、介入×時間の交互作用を評価すると、「介入の効果が時点によって異なるか」を検討できます。交互作用が有意なときは、単純主効果の検定やプロットによる確認が解釈の中心になります。
データ形式と注意点
反復測定分散分析を実行する場合、データセットの持ち方は横持ち(変数グループ/ワイド形式)である必要があります。縦持ち(ケースグループ/ロング形式)の場合は、データの再入力や再構成が必要です。
- 反復測定要因の各水準に対応する変数が横方向に並んでいること
- 同一被験者の識別子(ID)が欠落していないこと
- 欠測がある場合は、リストワイズ削除か混合モデルによる扱いを事前に決めること
有意差が認められた場合でも、どの水準間に差があるかは全体検定だけでは分からないため、多重比較や単純効果の検定で水準間の差を具体的に確認することが重要です。
SPSS Statistics での反復測定
SPSS Statistics では、反復測定分散分析および関連する一般線型モデルは IBM SPSS Advanced Statistics オプションが対応します。球面性検定の結果や補正P値、描述統計、プロットを併せて出力し、仮定の確認と結果の解釈を行います。
混合効果モデルで共分散構造を指定する場合も同オプション内の機能を利用します。Base のみでは反復測定分散分析は実行できないため、経時データや被験者内デザインの分析を継続的に行う場合は Advanced Statistics の導入を検討してください。
ソフトウェア
SPSSでは、上記のとおり Advanced Statistics オプションが反復測定の分析に対応します。Rでは、反復測定分散分析を比較的簡単に実行できるezやafex、また反復測定データを混合効果モデルで扱うためのnlmeやlme4があり、目的やデータの複雑さに応じて使い分けることができます。Pythonでは、statsmodelsやpingouinライブラリを利用する方法があります。
IBM SPSS Statistics 製品情報
IBM SPSS Advanced Statistics オプション
参考文献
- Fisher, R. A. (1925). Statistical Methods for Research Workers.
- 対馬 栄輝(2018),SPSSで学ぶ医療系多変量データ解析,東京図書
- IBM_SPSS_Statistics_Base.pdf
- IBM_SPSS_Advanced_Statistics.pdf
