Kruskal-Wallis検定の後の多重比較の手法
3群以上の独立したサンプルの検定
多重比較の手法としては、Steel-Dwass test(スティール・デュワス検定)や Mann-Whitney U test(マン・ホイットニーのU検定)による2群比較を行ってBonferroni(ボンフェローニ)による調整を行う方法などが知られていますが、IBM SPSS Statistisのノンパラメトリック検定のメニューを使用すると、Kruskal-Wallis検定の後の多重比較が自動的に行われます。
IBM SPSS StatisticsによるKruskal-Wallis検定の手順
(1) 「分析」メニュー >「ノンパラメトリック検定」 > 「独立サンプル」を選択します。
(2) 「フィールド」タブを開きます。
(3) 「検定フィールド」に「従属変数」、「グループ」に「独立変数」を指定します。
(4) 「設定」タブを開きます。
(5) 「検定のカスタマイズ」を選択します。
(6) 「Kruskal-Wallis(kサンプル)」を選択します。

IBM SPSS Statisticsのノンパラメトリック検定のメニューでは、検定手法を具体的に指定しない場合は、独立変数の水準の数によって、水準数が2つの場合はMann-WhitneyのU検定、水準数が3つ以上の場合はKruskal-Wallis検定が実行されることになります。以上の設定で、Kruskal-Wallis検定が実行され、有意差が認められる場合は「すべてのペアごと」の比較が行われます。
(4) 「実行」ボタンをクリックします。
検定結果の確認(Kruskal-Wallis検定)

この結果は、因子全体の効果ですので、2群間の差の検定結果は、ペアごとの比較テーブルを確認します。
■バージョン26以前のペアごとの比較テーブルの表示方法
バージョン26以前で2群間の差の検定結果を確認するためには、仮説検定の要約テーブルをダブルクリックして詳細を表示します。

漸近有意確率(両側)は、Kruskal-Wallis検定の結果です。この検定結果が有意である場合、すべてのペアごとの比較が行われており、「ビュー」リストの「独立サンプル検定ビュー」をクリックして「ペアごとの比較」を選択すると、テーブルが以下の表示に切り替わります。
検定結果の確認(ペアごとの比較)

2群間の差の比較を行うノンパラメトリック検定としては、Mann-WhitneyのU検定がよく利用されますが、IBM SPSS Statisticsのノンパラメトリック検定のメニューで自動的に実行される2群間の検定結果は、Mann-Whitney U testではなく、Dunn test(ダン検定)によって計算されています。したがって、この検定に使用した統計手法の説明に、Dunn またはDann-Bonferroniの方法と記載します。
Dunn, O. J. 1964. Multiple Comparisons Using Rank Sums. Technometrics, 6, Pages 241-252.
■ IBM SPSS Statistics Algorithms.pdf(英語版のみ):PDF776枚目
The Kruskal-Wallis, Friedman and Kendall, and Cochran tests use the procedure proposed by Dunn (1964) (originally designed for the Kruskal-Wallis test). The procedure uses ranks (or successes for the Cochran test) based on considering all samples rather than just the two involved in a given comparison.
■ IBM Support
Can SPSS perform a Dunn’s nonparametric comparison for post hoc testing after a Kruskal-Wallis test?
SPSS Statisticsは、バージョン19のNPTESTS手順(分析>ノンパラメトリック検定>独立標本)の重要なKruskal-Wallis検定に続いて、DunnまたはDunn-Bonferroni事後検定法を追加しました。
■ IBM Support
独立サンプルのノンパラメトリック検定にある、[Kruskal-Wallisの一元配置分散分析ANOVA]の[複数の比較]を設定した場合の出力について
「ペアごとの比較」は、
Dunn, O. J. 1964. Multiple Comparisons Using Rank Sums. Technometrics, 6, 241�241.
の検定です。具体的には「IBM SPSS Statistics Algorithms.pdf」をご参照ください。
その他の多重比較の方法
Dunn検定ではなく、Mann-WhitneyのU検定を用いた多重比較を行いたい場合は、過去のダイアログメニューからノンパラメトリック検定を実行し、手計算でボンフェローニ調整を行います。
(1) 「分析」メニュー >「ノンパラメトリック検定」 > 「過去のダイアログ」 > 「2個の独立サンプルの検定」を選択します。
(2) 「検定変数リスト」に「従属変数」、「グループ化変数」に「独立変数」を指定します。
(3) 「範囲の定義」ボタンをクリックします。
(5) グループ変数の値の範囲として「最小」と「最大」を指定します。
(4) 「Mann-WhitneyのU」が選択されていることを確認して「OK」ボタンをクリックします。
この手順を比較したい2群同士(治療法Aと治療法B、治療法Bと治療法C、治療法Cと治療法A)で繰り返して実行し、出力された有意確率を検定回数(この例では3回)によって調整して、有意性を判断します。
目的や使い方、用途に応じて、IBM SPSS製品を有効にご活用いただき、課題解決・価値創造にお役立てください。
■ IBM SPSS Statistics Base
IBM SPSS Statisticsによるデータ入力、読込み、データ加工、基本統計量の出力、推測統計(仮説検定・信頼区間)、回帰分析、因子分析、クラスター分析、分散分析、グラフ作成、外部ファイルへのエクスポート、拡張機能などを有する基本モジュール
https://www.stats-guild.com/ibm-spss
■ E-Learningコース
IBM SPSS Statisticsによる統計解析【初級編C】分散分析と多重比較法
https://www.stats-guild.com/spss-e-learning/courselist/spss-introc
■ SPSS講習会 SPSS Learning Room(E-Learning+講習会+QA)
https://www.stats-guild.com/l-room